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ハクビシン - Masked Palm Civet - Paguma larvata

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東京で、あまり暑いので、夕食後、ソファでくたっとなっていると、何やらまた、セミが引っかかったような音がする。実際前日同じような時刻に、網戸にミンミンゼミがへばりついて「入れてよう入れてよう」と懇願していたから、またセミだろう、と思ったのだが、どうも様子がおかしい。

耳を澄まして聞いてみると、ジジジという音の合間で、念仏のような、ご詠歌のようなうなり声が継続して流れている。となりの椅子でくたっとなっている理事に聞くと「隣家のご主人が風呂で歌ってるのよ」とか言う。いや隣家のご主人はもっと明確に調子っぱずれだ、とか話をしていると、とうとう「ポコポコ」とか「キュー」とか変な音までしだした。ああこれは哺乳類。しかも熱帯の香り。とするとハクビシン?

窓に近寄り、そっと外を窺うと、いたいたハクビシン、それも三頭。樫の木を伝い、上り、また下りて、懐中電灯を当てても(カメラ以外の主力撮影機材は山に置いてきた)逃げない。明かりを消すと、樫の幹に溶け込んだ猫背のシルエットがトロピカルでなかなかよい。三匹、向かい合ったりぶつかったり寄り添ったりしながら、首を伸ばしてこちらを見たり、見なかったり、また気ままにご詠歌を吟じ、コポコポと変な音を立てている。

ハクビシンは食べた、というか食べさせられたことがある。香港の華潤集団のビルの最上階にあるプライベートレストランに、30年近く前、某T造船の皆さんと数名で招かれた時。今日はスペシャルなメインディッシュがある、とホストに言われた時は嫌な予感しかなかったが、出てきたものはぐつぐつに煮込んだシチューだった。「これ何ですか」「食べたら教えますよ。くっくっく」「意地悪だなあ、教えて下さいよ」などというやり取りをする。見ると細くて華奢な、腕と手首の骨が見える。「たーかのさん、こりゃ
ですなあ」なんて友軍の悲痛な声を聞きながら、一口、二口、まぁ、あまり味は覚えていない。まぁ、Dragon & Tiger ですとか言われて中国の片田舎でと猫の煮込みを食べさせられ(て、たちまちひどい下痢に襲われ)た同僚に比べれば上品、上品。

ともあれ、大震災の頃、東京23区内の当地で生息域を順調に拡げていた
タヌキの増加が終熄した後、その隙間に忍び込むように、こいつらが入ってきた。色々な意味でタヌキよりスマートなので、フェアに見れば、木を上り、電線やパイプを伝うこの獣の方が、都会には適性があるように思う。夜、散歩をしていると、時々すっとこともなげに道を横切る姿を見かける。猫と思うのか、誰も気づいてない。

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↓三匹いる。母と子らしい。
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軽快かつアクロバティックな動きはタヌキにないもの
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[写真撮影 : 2017/07 - 東京都 - 頭胴長約50cm - ジャコウネコ科 - 個人的博物館本館の人里・農地の哺乳類のページへ]
[photo data : 07/2017 - Tokyo, Japan - body length abt. 50cm - Viverridae - visit “
Mammals in the town, country and farmland” (main museum)]
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