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[這いずり日記] 長野方面 2015/早春その2

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山小屋でまるまる一週間。林の向こうに春の手がかかった、と思う間もなく、ぬっと本格的な春がやってきた。それにしても、いきなり気温22度はないだろう。最近、東京では冬が終わるとすぐ夏になるが、そういう傾向は山にもあるのかも知れない。

ちょっと前まで雪が少し降ってはまた融けて、という繰り返しだったが、とうとう雪が雨にかわって、雨がまた融雪を促し、つい先日まで雪に覆われていた林床には、もうほとんど雪が残っていない。上の方には新雪も見えるが、とうに別世界のような気がする。視線を落とせば花こそまだだが、フキノトウは芽吹いて、微妙に花粉も飛び出した気配もある。

気がつくと裏の池ではカエルが鳴いているし、鳥はイカル、ホオジロ、カラ類、それぞれが囀り始めて、囀る個体は行動も俄然強気になるのが面白い。そして、陽が落ちるのを待ちわびていたように、夜になれば
フクロウが小屋の周りで鳴き交わす。山はピンク色の交尾モード、というのに品がなければ、ばら色の繁殖期である。

全部ではないが、マヒワ、アトリ、カシラダカなどの冬鳥はとどまっている。移動はバラ、バラ、と現在進行形で、北帰行途上か、谷沿いを低空遡行するヒドリガモの小群がこの場所では初見。虫も慌てて出てきていて、ヒオドシチョウ、シータテハ、テングチョウなどの成虫越冬組は既に飛び、コモリグモも地に湧いている。とうとう
シダクロスズメバチの女王も目覚めて、ヨタヨタとあいさつに来た。

生き物を観察する者には油断のならない春がやって来た。これから二ヶ月が、この林のとっておきのプライムタイムだ。

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[写真撮影 : 2015/03 - 長野県] [photo data : 03/2015 - Nagano]
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