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[這いずり日記] 台湾・墾丁 2010/秋

また高雄に用事があり、台湾に行ってきた。高雄から先、いつもならどこに居残るかちょっと悩むところだが、今回は十月初め、ちょうど鷹の渡りの季節だったので、迷わず台湾最南端の墾丁に向かった。高雄からバスで二時間半のところだ。

墾丁では四泊したのだが、がっかりしたことに前半はずっと雨が降った。日本を発つ前に調べた時は晴れの予報だったのだが、現地で調べ直すといつの間にかずっと降り続く予報に書き換えられている。早起きして、雨の間隙をついて山道に入っても、すぐまたざぁざぁ降りになって手に負えない。確かに時々サシバやアカハラダカが飛んでいるが、あとはモズやキセキレイが多少目立つ程度で、正直暇を持て余した。

だから四日目の朝、太陽が出たのは本当に嬉しかったのだが、四日目から世間的には週末に突入していたのが予想外だった。今度はびっくりするほどの人が湧いて来て、山道を埋め尽くしている。山の上の自然公園に、いくつか展望台があるのだが、その近くまで行くと、「来!来!こっちだ!」「わー!」「あー!」とか、飛んでくる鷹を見て皆が大声で唱和していて、まるでニューシネマパラダイスの映画館のような状況だ。台湾有数の観光地だし、ましてや鷹の季節だから仕方ないが、これはこれで身の置き場に窮した。

ずっと山にいたから、五日目、帰る日の午後になって、海辺をバイクで走って鵝鑾鼻まで行った。ここにも物凄い数の観光バスが集結している。もうこの辺に来ることはないだろうな、と思いつつ、見上げると、眩しい光の中に、サシバが渦のように群れているのが見えた。


[写真撮影 : 2010/10 - 台湾・墾丁] [photo data : 10/2010 - Kenting, Taiwan]
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