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[這いずり日記] クロツグミ営巣〜長野方面2017/春その6

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クルミも欅も葉が出そろって花も咲いたから、もう夏と言いたい気さえする。蝉も鳴いているし(ハルゼミだけど)。時々東京に戻るが、ここのところ基本ずっと山にいるので、5/20くらいまでで一旦切っておく。

先月は雪も降っていたと言うのに、もう前後左右緑、尋常ならざる緑の豊饒に囲まれてしまった。そして葉っぱは虫を連れてきた。緑、日陰、虫、汗、いろいろなものと久しぶりの対面だ。そうそう日陰ってものがあったな、とこれは新鮮だ。毎年のことだが、こうなるともう鳥はほとんど見えない。鳴き声はするし、気配もするが、飛んでいく姿、葉っぱに隠れた下半身、そんなもの以外の視認はむずかしい。コルリトラツグミだと興奮していた季節は去ってしまった。

あろうことか、車庫にしている物置の上の松に、クロツグミが営巣したようだ。この松は交通の要衝にあって、道から上がってきても、裏の原からおりてきても、ゴミを埋めに行くにも、道具を取りに行くにも必ず下を通るので困った。車は下方に停め、人は極力通らないようにする。没交渉を決めたのだから、どうなっているのか様子は全然分からないが、気配はあるから抱卵しているのではないかと思う。朝顔につるべ取られたとか何とか、死んだ親父が惡んでやまない俳句があったけれど、まぁそんな感じだ。虫を寄せる明かりもつけられないので、これも困る。

という具合に、当地を選んでいただいたことに感謝をしつつ最大限の敬意を払っているわけだが、報酬はすばらしいものがある。朝四時から夜七時まで、我が小屋を覆う緑の天堂に、教主クロツグミ様の祈りの声が轟きわたるのだ。特に朝方、前にも書いた通り、第一声が本当にすばらしい。声があちこちから反響しているように聞こえ、思わず膝をついて入信したくなるほどだ。

一方で、今年はキビタキが冴えない。いるのだけれど、小屋の周りでは存在感がない。昨年のキビ太郎の血は絶えたか。

花はもうぐちゃぐちゃに咲いている、というのが僕の感覚だが、客観的に見れば野の花林の花なんて地味で小さいから、大したことはないのかもしれない。でも、目をつけておいた林のすみっこに、イカリソウが草に紛れてたくさん咲き出したのをみたりすると、とてもうれしい。ただ、ひみつのスポットに行ってみたが、イチリンソウがみつからない。と言う風に、それなりに忙しい。

[間もなく終了] ミヤマエンレイソウ、ヤマウグイスカズラ、ヒトリシズカ、マメザクラ、ヤマザクラ
[開花中] カキドオシ、西洋タンポポ、ヒメオドリコソウ、タチツボスミレ、エイザンスミレ、ボケ、ヒカゲスミレ、ニリンソウ、ヒゲネワチガイソウ、ワダソウ、コハコベ、イヌナズナ、サクラソウ園芸種、タネツケバナ、シバザクラ園芸種、ユキヤナギ、未同定ヤナギ x 2、ミツバツチグリ、セントウソウ、ヒメカンスゲ、レンプクソウ、サクラソウ、オオカメノキ、イカリソウ、ヘビイチゴ、未同定キイチゴ、ホソバノアマナ、ムラサキケマン、ヤマブキ
[ニューエントリー] オドリコソウ、ツマトリソウ、シナノタンポポ、キランソウ、フデリンドウ、クサノオウ、アケビ、ズミ、ケヤキ、オニグルミ、クルマバソウ、ラショウモンカズラ。あと色々未同定のものなどあり

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こうやって写真を並べてみると、色彩、それも明るい色彩に富んだ季節と言えるかもしれない。

[写真撮影 : 2017/05 - 長野県] [photo data : 05/2017 - Nagano]
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