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ガビチョウ - Chinese Hwamei - Leucodioptron canorum

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小屋から30分ほど林道を上がったあたりの寂しいところの林床の笹やぶに、ひとつがいのガビチョウが居ついたことを知ったのは昨年の秋だった。なわばりに執着があるようで、だいたいいつも同じ場所にいる。
原産地は中国で、いわゆる侵略的外来種である。すでに箱根の笹原は15年前にこいつらが占拠していたし、ここから県境を越えて都会の方角へ15kmくらい下りていった別荘地の辺りでは10年くらい前に到着をしたのを知っていたから、とうとうやって来てしまったか、という重い気持ちになる。

とは言っても、基本的に南方系の種類であるし、根雪になると採餌できないだろうから、冬は越せないのではないかな、という気持ちが半分、一方でしぶとい奴らであるから、したたかに生き延びるのではないかな、というあきらめも半分。

結果として、このカップルは生き延びた。彼らにとって運の良かったことは、今年は二月に全然雪が降らなくて、根雪の期間が短かったことが挙げられる。寒さも例年よりは若干暖かめではあったが、マイナス15度近くまでは下がる日もあったから、基本寒さへの耐性は備えているのだろう。

それでもここひと月ほど姿が見えなかったから、移動したかな?と思っていたのだが、雪の舞った次の日、四月らしい陽射しの眩しい午後に、彼らのテリトリーを訪問してみると、健在だった。 人の高さくらいの潅木で雄が囀り、やや下に位置した雌が唱和する。声量が大きいし、クロツグミのようなフレーズも入れて、なかなかの達者ぶり。これで、ゲコゲコともギギとも聴こえる変な音を出さなければ、美声の持ち主と言ってよいが、変な音が夫婦間のコミュニケーションには重要な感じなので、まぁ致し方ない。

しばらくぼけっと見ていたが、飼い鳥になっていたくらいだから愛嬌のある姿だ。エジプトの壁画みたいな化粧が目の回りについていて一見チャーミング(ガビチョウのガビは画眉で、その北京語読みが Hwamei)だが、よくよく見ると、意地の悪そうな目でもあり、この辺はメジロに通じるものがある。そう言えば、メジロのグループは最近の DNA 分析で、ガビチョウにより近縁とされたのだった。

ともかく。寂しい笹原にあって冬を堪え抜き、夫唱婦随で喜びを歌い上げる姿を目にしては、出て行けとも言えまい。まぁ致し方ない。

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体をひょいひょいといろんな方向に伸ばし、尾をひらき、目をつぶり、開けて、あとはうたう。

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[写真撮影:2018/04 - 長野県 - 体長約23cm - 個人的博物館本館のチメドリ・ガビチョウのページへ]
[photo data : 04/2018 - Nagano, Japan - about 23cm - Leiothrichidae - visit the main museum ("Babblers, Laughingthrushes & relatives")]
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